狂愛されし少女の夢現
*2
【 *2 壊された 記憶の欠片 】
「ねぇ、早く言ってよ」
二人だけしかいない部屋は 血の匂いで充満していた。
『私が一番愛しているのは・・・・・私の家族――』
刹那、乾いた音が、部屋に小さく響く。
彼女の頬はすでに 赤く腫れていた。
「だから、違うって言ってるでしょ」
セシルの口は笑っていたが、目は笑っていなかった。
「何回言えば、分かるの」
彼女の髪を掴み、弱っているフランの顔を近づける。
「聞き覚えの悪い子だなぁ」
そう呟き、少女の胸元にまた一つ、彼はナイフで線を引くように 白い肌に傷を付けていく。
『や、ぁ…!!』
じわじわと追って来る痛みに、血の匂いに、彼女は必死に耐える。