狂愛されし少女の夢現



『セシル様は、私のために・・・・私の家族を・・・母を、父を、そして幼き弟を、殺して下さりました』


とても大好きな彼等達は あの日、踊り狂う炎とともに 焼き尽くされてしまった。


「ねぇフラン、それは勿論 嬉しくて泣いているんだよね」


止めどなく溢れ出る涙。
それは 愛しい人達を思い出して。


「ねぇ、答えなよ」


グサッ と、勢いよくナイフが顔の真横に刺される。


大好きな家族を、この男が殺した。


( フランには、僕さえ居ればいいんだよ )


幸せな時間を 彼が壊した。


「君は僕のことだけを愛せばいいって、言ったよね」


一層低くなった声に フランが現実に引き戻される。



襲ってくるのは 彼に対する、恐怖のみ。




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