狂愛されし少女の夢現
「僕は君の事が愛しくて愛しくて、溜まらないのに」
彼女の腕を掴むその手に、力が込められる。
『セ、シル様、 痛、い・・・・!』
彼の爪が喰い込み、少量の血が姿を現す。
「躾が甘すぎたかな」
『ふっ・・・・ん!』
強引に彼女の唇を奪い、何度も何度も 食らい付く。
『――――ッ!』
刹那、口の中に広がる 鉄の味と、僅かな痛み。
セシルが 彼女の唇を咬んだのだ。
「ねぇフラン。 君は、吸血鬼が嫌いと言ったよね」
彼に連れ去られた翌日、 そう彼女が叫んだのだ。
“吸血鬼も、あなたも、大嫌い!!”
自分のことを嫌いだと言われた彼は、何度も彼女を哭かせた。