狂愛されし少女の夢現



彼は先ほどより深く、手首にナイフを刺す。

そして勢いよく溢れ出る血を、己の口の中へ流し込む。


『んっ!!』


刹那、唇は再び塞がれ、そしてこじ開けられた口から その液体が入り込んでくる。


イヤ!

大切な家族を奪った彼と同じように 自分も吸血鬼になるなんて、イヤ!

それなら、いっそ死んでしまったほうが――――!



いくら避けようと、後部を抑えつけられ 逃れられない。


そして彼女はついに、

『――――っ!』

その血を飲み込んでしまった。





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