狂愛されし少女の夢現
体中が 熱い。
「人間って、すぐ死んじゃうけど」
ナイフで刺された彼女の腕の傷が、塞がっていく。
「吸血鬼って、何百年も 何千年も生きるから」
ゆっくりと開かれた瞳から、流れ出る涙。
「これからが、楽しみだね」
狂った頬笑みで 光を失った彼女の瞳を見つめる。
「紅い瞳、似合ってるよ」
空の色だった彼女の両目は、全てを焼き尽くす 紅に変わってしまった。
「ねぇ、血が飲みたくて仕方がない?」
そう言って 彼女の縛られた腕を、彼は解く。
刹那、少女はセシルの首に腕をまわし 抱きつく。