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「純花、帰ろう。」
ホームルームが終わり先生が、出て行ったと同時に和希は純花の席まで歩き声をかけた。
久しぶりに2人で帰る
2人は2階にある階段を降り、昇降口を通り、靴を履いて正門から出て行く。
「純花、まだ話しかけないの?」
和希が言っているのは、もちろん彼のことである。
「・・・無理・・。」
純花は、顔を真っ赤にして、俯いてしまっている。
「純花は奥手だよね。もう、1年くらい経つよね。
何かその人のこと分かったことないの?」
純花は、和希の質問に真剣に答えようと黙り込んで考える。
「・・・・・あっ。」
「何かあった?」
少し興奮気味に純花に近づいて行く和希に、純花は戸惑った。
「そんなに大したことではないんだけど・・・。」
「なんでもいいから、早く言って。」
和希はじれったそうに純花に詰め寄る。