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そして彼の近くに来る。


近づいてきていた足音が止まったことに反応して見ていた本から顔を上げる彼。

目が合う。

もう純花の心臓は壊れてしましそうなほど脈打っている。

「・・こ、こんばんは。お久しぶりですね。」

緊張で強張っているであろう顔にどうにかして笑顔を浮かべて彼に話しかける。

「ああ、こんばんは。久しぶりだね。」

彼は眉をひそめ、記憶にある声よりも少しトーンダウンした声で答えた。


「すみません、話しかけてしまって。
お疲れのところだったのに・・。」


純花は、自分の間の悪さに嫌気がさした。


今日は金曜日。
1週間、働いたあとに女子高生に話しかけられて嬉しいはずがない。
彼女なら違うのかもしれないが・・。

「・・・では、また。」

そう言って彼の前から立ち去ろうと床を見詰めたまま足を動かした。



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