BOOKS
その夜は、胸が苦しくなるくらいの幸福感に満ちた時間を過ごした。
その翌日から純花は、毎日同じ時間にその本屋に通うようになった。
純花の門限は午後7:30。
彼は、午後7:00を過ぎないと本屋には来ないため、毎日20分間を本屋で過ごすようになった。
彼とは一度も話すことがないまま、1年が過ぎた。
目もあったこともない。挨拶すら交わさない。
ただ本屋で、少しの時間でも見られればそれだけでいい。
そんな純花の生活が大きく変わったのは、日課を始めて2度目の雨の季節のことでした。
純花、高校2年生6月のこと。