偽装婚約~秘密の関係~
発見
『森本。
どんな手を使ってもいいから、必ず連れて来いよ』
『かしこまりました。では』
頭を下げた森本が出て行った。
『いよいよですね、晴弥(ハルヤ)様』
『ああ、そうだな。
これから…いろいろと大変になりそうだ』
俺は立ちあがって襖を開けた。
そこに広がるのはまさしく日本庭園。
これは親父の趣味だ。
年中ほとんどを海外で過ごしてるくせに、このうちに無駄に金かけやがって。
なんて中庭を眺めながら心の中で呟く。
俺の親父は遊馬電器のトップだ。
遊馬電器は日本でトップ、世界でも有数の大きさを誇る会社だ。
…って、自分の父親が経営してる会社のことを
こんなふうに言うなんて自慢しているみたいじゃないか。
だけど、ああいう以外、なんて説明すればいいのか分からないのだ。
で、俺は遊馬電器の次期社長。
遊馬 晴弥(アスマ ハルヤ)
もうすぐ魔の18歳。
うちには代々伝統の決まりごとが1つ、ある。
それは
『18歳の誕生日までに婚約者がいなければ、政略結婚させる』
というものだった。
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