偽装婚約~秘密の関係~
『晴弥様。
沙羅様がご到着されました』
ソファでくつろいでいると瑞季が現れそう言った。
俺は1度伸びをする。
『瑞季』
『はい』
『ついに始まるな』
『そうですね。
濃い半年になりそうです』
瑞季の肩を1度叩き、
俺は応接間へと向かった。
それから1分もしないうちに廊下から足音が聞こえて
『晴弥様』
『入ってくれ』
森本が障子を開けた。
『晴弥様。
沙羅様をお連れしました』
俺の中でスイッチが『ON』の状態になった。
『ありがとう、森本』
偽物の俺が森本に微笑む。
これは仲がいい人以外に見せる仮の俺の姿。
真面目を装わないと世界の遊馬の名が廃る、ってもんだ。
そして俺は、森本の後ろにいた、
その少女に目を奪われた。
小学校の卒業アルバムの写真の中じゃまだまだ幼かったけど。
あれから約6年。
成長した鬼灯沙羅は俺の想像以上にキレイになっていた。