偽装婚約~秘密の関係~




『え?婚約の話…破談になったのか?』


「そう。相手に晴弥と付き合ってたことがバレてね。

そしたらこの話はなかったことに、って」


なんだよ、それ。

なんで破談なんかに…


「だからね、晴弥。

もう障害はなくなったよ。


私たち…やっと、一緒にいられるんだよ」


もう俺にはどうすればいいのか分からなかった。

何が正解なんだ。


あずさを突き放すのか、

あずさを受け入れるのか。


何が正解で、何が間違ってるんだ。




「晴弥…やり直そ?」


あずさはこの間の朝と同様、また俺を細い体で抱きしめる。

その瞬間、なぜか沙羅の顔がチラついて。


『やめろ、あずさ』


そのときにはもう、俺はあずさを拒んでいた。








< 101 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop