偽装婚約~秘密の関係~
『え?婚約の話…破談になったのか?』
「そう。相手に晴弥と付き合ってたことがバレてね。
そしたらこの話はなかったことに、って」
なんだよ、それ。
なんで破談なんかに…
「だからね、晴弥。
もう障害はなくなったよ。
私たち…やっと、一緒にいられるんだよ」
もう俺にはどうすればいいのか分からなかった。
何が正解なんだ。
あずさを突き放すのか、
あずさを受け入れるのか。
何が正解で、何が間違ってるんだ。
「晴弥…やり直そ?」
あずさはこの間の朝と同様、また俺を細い体で抱きしめる。
その瞬間、なぜか沙羅の顔がチラついて。
『やめろ、あずさ』
そのときにはもう、俺はあずさを拒んでいた。