偽装婚約~秘密の関係~
「昨日、パーティの途中で沙羅、トイレ行ったんだけどね。
それで全然帰ってこなくて、探しに行ったら廊下にしゃがみこんでた。
詳しくは何があったのかは知らない。
でも、沙羅、すごい悲しそうで。
それで、聞いてきたの。
晴弥とあずさはどんな関係なの?って。」
申し訳なさそうに芽依は俯く。
『それで、教えたのか?』
「しょうがないじゃない!
ずっと、誤魔化してきたけど。
でも昨日の沙羅は誤魔化せなかった。
ねえ…晴弥。
昨日のパーティであずさとなんかあった?
そうじゃなきゃ、沙羅があんな悲しそうな顔をする理由が分かんないよ」
そういうことだったのか。
そんな風に妙に納得してる俺がいて。
でもこれで沙羅に少しは説明する手間が省けた。
『昨日、あずさに中庭に連れて行かれた。
それで、婚約が破談になったからやり直そう、そう言われた』
何を俺は素直に告白しているのだろう。
素直に喋ったことを後悔しているとそれまで黙っていたジュウゴが口を開いた。
『じゃあ、沙羅は2人が一緒にいるところを見た、ってことだな。
…んで、お前、あずさの告白に対してなんて答えたんだ?』