偽装婚約~秘密の関係~




それからしばらくすると沙羅がジュウゴの家にやって来た。

これは瑞季に頼んであったのだ。


沙羅を連れてこい、と。



部屋に入って来た沙羅とバッチリ視線が交わる。

くっそ…アイツ、睨むなんていい度胸してやがる。


沙羅がソファに座ると気を利かしてか芽依とジュウゴが能天気に家の広さの話を始めた。

でも沙羅はいっさい表情を変えることはなくて。

その顔はまさしく、『無』だった。



「沙羅?なーに黙ってんの?

いつもの元気はどこ行った?」


どういうつもりなのか芽依が沙羅に声をかける

そうすると沙羅は顔をあげて


「あたしは元気だよ」

なんて笑いながら言いやがった。


その表情のどこをどう見れば元気なんだ、バカヤロウ。










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