偽装婚約~秘密の関係~
サイン
『初めまして。
遊馬 晴弥(アスマ ハルヤ)です
この度は、ご迷惑をおかけてして申し訳ありません』
俺は丁寧に頭を下げる。
「あ、いや…全然…大丈夫、です」
顔にピッタリのキレイな声だ。
あ、鬼灯沙羅。
俺に見とれてやんの。
…え?自信過剰?
残念だがそういうワケでもなさそうだ。
だってさっきからずーっと俺の顔、凝視してんだもん。
そこまで見られると顔に穴開く、つーの。
『森本、ちょっと席を外してくれるか?
今から大事な話をしたいんだ』
別に森本がいてもなんの問題もないのだが。
鬼灯沙羅が俺の本性を見てどんな反応をするのか。
それをたっぷりと味わいたいから森本を追い出した。
『さて、契約内容だけど…
この紙、読んでもらえるかな?』
あらかじめ車の中で森本から説明は受けているはずだ。
だからさっそく契約内容の書かれた紙を鬼灯沙羅の前に差し出した。