偽装婚約~秘密の関係~




心の中でふっと笑いをもらした。

どうやら俺もそろそろ本気で向き合わなくちゃいけないらしい。


あずさとの過去と。

そして…沙羅と。



『俺とあずさは付き合ってた。

もう今じゃ、関係は終わってる。


これは本当だ。

だからこれだけは信じて欲しい』


俺の言葉とか行動とか何を疑ってくれても構わない。

でも、どうしてもこれだけは信じてほしかった。



『沙羅、晴弥の言ってることは本当だぞ』


沙羅が顔を逸らしたのを見てジュウゴがフォローする。


そうすると沙羅は小さく、縦に首を動かした。



『俺も、あずさも、本気だった。

本気で、相手のことを想ってたんだ。


でも、俺たちは自由に恋愛していい立場じゃない。


金持ちってのはめんどくさいんだ。


あの会社の息子とは仲良くするな、とか

あの会社の娘と仲良くなっておけ、とか


自分の利益ばかりを考えた親の発言、行動。

それに俺たち子どもは振り回されてる。


ジュウゴと芽依がそのいい例だ。

サクラ商事は芽依の会社ともっと深く交流がしたがために2人を結婚させようとしてる。


2人の気持ちなんてまったく無視でな。』


芽依とジュウゴは俯いていた。

2人との付き合いは長い。


だから表では平気なフリをしているジュウゴと芽依が本当は辛い思いをしていることを俺は誰よりも理解している。









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