偽装婚約~秘密の関係~
ベットに寝転がる俺の制服のポケットが震えた。
ポケットからケータイを取り出すとメール受信中の文字。
送り主は…あずさだ。
『…助けて、か』
メールの内容を読んでそう呟き、思わず溜め息をつく。
あずさからのメールには
「もうイヤだよ。
晴弥…助けて」
と、書かれていた。
イヤなのは俺だって同じだ。
そして助けてほしいのもまた、俺だって同じだった。
それにあずさを助けたいのは山々だ。
できるならとっくの昔にやってる。
でも、できないからこうして俺は今、悩んでるんだ。
どうすれば、あずさと会えるのか。
どうすれば、あずさの親を説得できるのか。
どうすれば…俺たちは別れずに済むのか。
どの問題も答えが難しすぎて。
俺は未だ、前に進むことができずにいる。
『ごめんな。
もう少し、我慢して。
必ず助けに行くから』
そんな文章を打って、送信ボタンを押す。
いったい…もう少し、というのはいつのことなんだろう。
自分で打った文章にそう毒づきながらまた、溜め息をついた。