偽装婚約~秘密の関係~
『晴弥様。
明日…あずさ様と約束を取り付けました』
『え?!ホントか?!』
『はい。レオ様と話し合いまして』
レオ、というのはあずさの執事だ。
『そうか。分かった』
俺とあずさが会えなくなって1週間が経っていた。
知恵熱は次の日には治り、学校に行っているが未だ、授業は受けることができていない。
『なあ…瑞季』
『なんでしょうか』
『あずさは…すべてを捨てて、俺に着いてきてくれると思うか?』
なんて質問をしているんだろう。
そんなことを思ったがでも、聞かずにはいられなかった。
だって、不安だったんだ。
俺の選んだ答えが正解なのかどうか。
『恐らく…ついてきていただけるかと』
『そう…思うよな』
俺の夢は、遊馬電器を継ぐことだ。
でも、そんな夢、あずさのためなら捨ててもいいと思っている。
『だけど…そんなことしちゃいけないんだ…』
俺が夢も遊馬の名前も捨てるのは簡単だ。
でも、あずさは巻き込めない。
すべてを捨てた俺があずさを幸せにできる保証はどこにもない。
と、いうかほぼ確実にあずさを苦労させるに決まってる。
そんなことになるくらいなら俺は…