偽装婚約~秘密の関係~





「晴弥の匂い…私、スキなんだ」


『え?』


顔を上げたあずさは微笑む。


「すっごい、落ち着く。

だからいつも一緒にいたい、って思うんだ」


あー…ホント、ヤバイって。

俺の心、グラつきまくり。



『あずさ。

あのな、俺、考えたんだ。


これから2人がどうするべきなのか。』


離れたくない気持ちを抑え、あずさから離れる。


「…たくないっ!」


『え?』


「聞きたくないっ!!」


あずさは俯いてしまう。



「分かってるよ。

晴弥が言いたいこと。


私は…私は…イヤだよ…」


顔をあげたあずさの頬に大粒の涙がつたう。



その涙を見て、

さっきよりも意志がグラつく。



『一緒にいような』


そう言えたら、どれほど、いいだろう。


でも…ごめん、あずさ。

やっぱり…言えないよ。



『…終わりにしよう、俺たち』










< 125 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop