偽装婚約~秘密の関係~
「晴弥の匂い…私、スキなんだ」
『え?』
顔を上げたあずさは微笑む。
「すっごい、落ち着く。
だからいつも一緒にいたい、って思うんだ」
あー…ホント、ヤバイって。
俺の心、グラつきまくり。
『あずさ。
あのな、俺、考えたんだ。
これから2人がどうするべきなのか。』
離れたくない気持ちを抑え、あずさから離れる。
「…たくないっ!」
『え?』
「聞きたくないっ!!」
あずさは俯いてしまう。
「分かってるよ。
晴弥が言いたいこと。
私は…私は…イヤだよ…」
顔をあげたあずさの頬に大粒の涙がつたう。
その涙を見て、
さっきよりも意志がグラつく。
『一緒にいような』
そう言えたら、どれほど、いいだろう。
でも…ごめん、あずさ。
やっぱり…言えないよ。
『…終わりにしよう、俺たち』