偽装婚約~秘密の関係~
茫然とする沙羅の顔は本当におもしろくて。
俺はケラケラ笑いながら言う。
『んだよ?その顔。
間抜けにも程があんだろ』
でも沙羅の反応は一切なし。
と、いうか驚きすぎて何も言えない様子。
仕方ないな。
俺はコホン、と1つ咳をするとスイッチをONに切り替えた。
『大丈夫?沙羅?』
ちなみにONとOFFの俺じゃ口調の柔らかさも、声も全然違う。
沙羅はこの声を聞いてほっとしたような顔をする。
バーカ。
これ、偽物の俺だろーが。
『また間抜けな顔、してんぞ?』
OFF状態に戻った俺がそう言うと突然、ふっと我に返った沙羅は
「………ってあんた!
何勝手にキスとかしちゃってるワケ?!
許可取りなさいよ!許可!!」
と、騒ぎ出した。
なんつーめんどくさいヤツなんだ、おい。