偽装婚約~秘密の関係~
『晴弥。
婚約披露の主役はお前と沙羅さんだが、
準備は瑞季と2人でやってくれ。
好きなようにやってくれてかまわない。』
『分かりました』
父さんはそこで初めて俺の顔を見た。
『お前もついに18歳か。
気づいたらこんなにも大きくなって、たくましくなったな。』
『何をいきなり言い出すんですか、父さん』
『いやあ、そろそろ俺も潮時なのかなあ、と思ってな』
『冗談もほどほどにしてください。
まだ引退なんてトシでもないでしょう』
なんせ、父さんはまだ50歳だ。
それに見た目だけ見れば40代前半でも通用する。
『ははっ
そうだな。
晴弥がもう少し大人になるまで頑張るか』
父さんはそう言って俺の肩に手を置く。
『晴弥、くれぐれも母さんにバレるなよ。
沙羅さんが本当の婚約者じゃないこと。』
『分かってます。』
『よし、じゃあもう一仕事やるかな』
父さんはそう言って書斎へと戻っていく。
なんだか久々に父さんとちゃんと会話をしたが。
いつの間にか、すっかり丸くなってたな。
ホントに潮時は近いかもしれない。