偽装婚約~秘密の関係~
それから目まぐるしく時はかけて行き、
あっという間に婚約披露パーティ当日。
自分の準備が終わり、沙羅の部屋のドアを開ける。
その向こうに見えた沙羅の姿に息をのんだ。
『沙羅、自分に見とれてる暇はないぞ。
招待客が来始めてる』
沙羅に目を奪われたことを隠すためにそんな意地悪なことを言う。
そうすると案の定、睨まれた。
俺を睨むなんていい度胸じゃねーか。
今度、お仕置きしてやる。
すると突然
「はるやー!さらー!」
という声が聞こえてドアが開く。
「……めいー!」
ドアの向こうから現れたのは芽依とジュウゴだ。
『表、すごい人だぞ。
何人呼んだんだよ?』
『ちゃんと数えてはないから分かんねぇけど…
海外から来る人も含めて500人くらいじゃね?』
『「「500人?!」」』
3人の声がキレイにハモった。
んな驚くことでもねーだろ?
『この婚約…偽装、なのにな』
ジュウゴがポツリと呟いた。
偽装なのに…か。
そうじゃないんだ、ジュウゴ。
偽装だから…なんだ。
『俺は、1ミリも沙羅を婚約者じゃないと思わせたくないんだ、母親に。
だから、信じ込ますことができるならやれることは全てやるつもりだ』
いつでも、どんな状況でも、
最善を尽くす。
それが俺のやり方だ。