偽装婚約~秘密の関係~




それから目まぐるしく時はかけて行き、

あっという間に婚約披露パーティ当日。


自分の準備が終わり、沙羅の部屋のドアを開ける。

その向こうに見えた沙羅の姿に息をのんだ。



『沙羅、自分に見とれてる暇はないぞ。

招待客が来始めてる』


沙羅に目を奪われたことを隠すためにそんな意地悪なことを言う。

そうすると案の定、睨まれた。

俺を睨むなんていい度胸じゃねーか。

今度、お仕置きしてやる。


すると突然


「はるやー!さらー!」


という声が聞こえてドアが開く。



「……めいー!」

ドアの向こうから現れたのは芽依とジュウゴだ。




『表、すごい人だぞ。

何人呼んだんだよ?』



『ちゃんと数えてはないから分かんねぇけど…

海外から来る人も含めて500人くらいじゃね?』



『「「500人?!」」』


3人の声がキレイにハモった。

んな驚くことでもねーだろ?



『この婚約…偽装、なのにな』


ジュウゴがポツリと呟いた。


偽装なのに…か。

そうじゃないんだ、ジュウゴ。


偽装だから…なんだ。



『俺は、1ミリも沙羅を婚約者じゃないと思わせたくないんだ、母親に。

だから、信じ込ますことができるならやれることは全てやるつもりだ』


いつでも、どんな状況でも、

最善を尽くす。


それが俺のやり方だ。








< 134 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop