偽装婚約~秘密の関係~
『脱帽だ、晴弥』
と、ジュウゴ
「さすがだね~
世界の遊馬の御曹司はやっぱり普通の人間とは違うわ」
と、芽依。
『大袈裟なんだよ、2人とも』
苦笑いを浮かべ
『先、会場に行っててくれ。
俺たちもすぐ行くから』
そう言ってジュウゴと芽依を追い出す。
5分後。
俺たちはパーティ会場の扉の前にいた。
『沙羅。
どうした?
んな顔してお前らしくもない。
もっとリラックスしろよ』
表情が強張ってんぞ。
間抜けな顔がますます間抜けになってる。
…とは、さすがに言えなかった。
「そんなの、無理に決まってるじゃない!
この状況で落ち着けってほうが無茶!!」
『いつもの煩い沙羅だな』
「うるさいは余計」
よしよし。
それでこそ沙羅だ。
そして俺は沙羅の頭の上に手を置いた。
『沙羅。
お前は何も喋らなくていい。
とにかく俺の隣でニコニコ笑ってろ。
これで、後々の展開が大きく変わってくる。
頼むな、沙羅』
慣れないこんな場所に連れてきたのはこの俺だ。
だからお前のイヤなことはすべて、俺が受け持ってやる。
その代わり、お前はやれることを全力でやってくれ。
沙羅が力強く頷いた。
『そろそろ、よろしいでしょうか』
『いつでもいいぞ』
そう答えると瑞季が扉を開けた。
『いくぞ、沙羅』
俺は沙羅の手を握った。
そしてパーティーの会場に足を踏み入れた。