偽装婚約~秘密の関係~
あいさつのあとは立食パーティー。
俺たちは手を繋いだまま、お偉いさん方へあいさつ回り。
かなりの人数にあいさつを済ませる。
『頑張れ、沙羅。
あと少しだ』
隣を見ると沙羅の顔が引きつっていて。
思わず、声をかけた。
「う、うん」
苦笑いの沙羅。
相当ヤバそうだな。
まあ仕方ないだろう。
こんな経験、初めてだろうから。
『遊馬電器の御曹司。
俺らにあいさつナシか?』
後ろから突然、声をかけられる。
あー…めんどくさいヤツに見つかった。
振り向いた沙羅が
「……めぃぃぃぃ…」
と、言いながら芽依に抱きついた。
今、声をかけてきたのはジュウゴだ。
その隣にはもちろん、芽依もいる。
『……沙羅。
やめろ。
いつ、どこで母さんが見てるか分からないんだ』
そう言うと渋々芽依から離れる沙羅。
ったく、自覚が足りないぞ。