偽装婚約~秘密の関係~
『あ、ジュウゴ』
『あれ?もうあいさつ終わったのか?』
『ああ、一通りな。』
つい5分ほど前にあいさつ回りを終えた。
『あれ?沙羅は?』
『それが、どこにもいなくてな』
ったくアイツ、どこでサボってんだ?
一応、今日の主役なんだからいなくなってもらうと困るんだけど。
「あ、沙羅ならさっき部屋出て行ったよ」
どこからともなく現れた芽依が言う。
『じゃあトイレかなんかか?』
「多分ね。
っていうか、それよりもさ、晴弥。
何考えてるワケ?」
芽依が眉間にシワをよせる。
『は?なんのことだよ?』
「…あずさ」
それだけで十分、俺に伝わった。
要するに芽依は
どうしてあずさを呼んだの?
と、言いたいんだろう。
『一応は招待状出したんだ。
うちとの付き合いがゼロってワケじゃないからな。
まあでも、来ないだろうと思ってた。
だけど…来たな、アイツ』
ったく天然で来ちゃったのか、
肝が据わってるのかわかんねーけど、
不思議なヤツだよ、あずさは。