偽装婚約~秘密の関係~
「ってかなんなのあんた?!
猫かぶりなワケ?!
タチ悪すぎでしょ!!
もーあんたとなんてやってらんない。
あたし、帰るから!!」
沙羅はそう言って立ち上がる。
ったく、ギャーギャー騒ぎやがって。
驚くのは分かるけどもうちょっと落ち着けよ。
はあ、と溜め息を零した俺は
『お前は一家心中したいのか?』
と、言った。
そうすると沙羅は動きを止める。
お前の両親の借金。
危ないところから借りてんだからさ。
どう考えたって、お前に選択の余地はないんだよ。
『お前が今、ここで俺から逃げたらお前は死ぬしかない。
死にたくないなら…我慢するしかないだろ?』
振り向いた沙羅は俺を思い切り睨み、
大きな足音を立てながら元の位置に座った。
よしよし、良い子だ。
「で、他に言いたいことは?!」
そんな眉吊り上げなくたって。
普通の顔してれば十分に可愛いのに、
もったいないことをしてるよ、コイツ。