偽装婚約~秘密の関係~
俺は夢の中にいた。
なぜか隣にいるのはあずさで。
そう。多分、その夢はあずさと付き合っていた頃の夢。
「晴弥?」
『ん?』
「晴弥の夢って何?」
『んなの父さんの会社継ぐことに決まってんだろ。
あずさの夢は?』
「私の夢はね、晴弥の奥さんになることだよ」
ニコッと笑ったあずさが眩しかった。
でも、違う。
そう、思った。
今、隣にいてほしいのは、
今、奥さんになりたい、そう言ってほしいのは…
『……や様!
晴弥様!起きてください!!』
そこで、俺の夢は途切れた。
そして現実へと引き戻されたのだった。