偽装婚約~秘密の関係~
『どうしたんだ!』
重い瞼をこじ開け、叫ぶ。
睡眠を妨げられることほど不快なことはない。
『落ち着いて聞いて下さい。
沙羅様が…いなくなりました』
『………っ!!』
予想もしていなかった言葉に動揺を隠すことができなかった。
『瑞季、どういうことだ?』
起き上がりベットの端に腰をかけた。
『これが沙羅様の机の上に…』
瑞季がそう言って1枚の紙をポケットから取り出す。
そこには確かに沙羅の字で
「何も言わずに出ていってごめんなさい」
と書いてあった。