偽装婚約~秘密の関係~
結局、沙羅はどこにもいなくて仕方なく家へ戻る。
途中、1台の車とすれ違った。
どこかで見たようなカタチの車だったが
どこで見たのかは思い出せなかった。
『…おかえりなさいませ』
玄関を開けると瑞季が浮かない顔で頭を下げる。
『沙羅は帰ってきてないみたいだな』
『………申し訳ございません』
瑞季が謝ったところで沙羅が戻ってくるワケではないのに。
コイツはどんだけ頭を下げれば気が済むんだろう。
ソファに座り頭を抱える。
どうすればいい?
俺は、どうすればいいんだろうか。
そのとき電話が鳴った。
ジュウゴか?!
芽依か?!
それとも月島か?!
沙羅が見つかったのか!?
俺は顔を上げ、瑞季を見た。
『晴弥様。
月島様からお電話です』
瑞季が差し出した受話器を受け取る。
『………もしもし』