偽装婚約~秘密の関係~




『父さん。それは違いますよ』


『…?』


『沙羅はそんなこと、気にするようなヤツじゃありません。

アイツは…強いヤツですから』


短い付き合いだが、分かる。

沙羅はそんなのまったく気にしてない。



『じゃあなんで沙羅さんは逃げ出したんだ?』


『僕が…中途半端だったせいです』


沙羅が逃げた理由は分かってる。


全ては俺が悪い。



『…晴弥』


『はい』


『お前がやることは分かってるか?』


『もちろんです。

ご心配には及びません』


『ん。ならいい』


『では失礼します』


頭を下げ、部屋を出た。



『…はあ』

ヤバイ。

久々に緊張した。



『晴弥様』


『なんだ?』


『ご命令を』


ああ、と呟き瑞季に命じる。



『今すぐ沙羅の様子を見て来い』









< 155 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop