偽装婚約~秘密の関係~




瑞季がうちを出て行って1時間ほど経過した。

アイツは未だに帰ってきていないらしい。


どうも沙羅のことが気になって、

勉強どころではないし、

新聞の内容も頭にはいってこない。


そんなことを思いながら

ベットに寝転がっていると


『晴弥様。ただいま戻りました』


瑞季の声がした。



『入れ』


『失礼します』


入って来た瑞季の顔を見た瞬間、だいたいのことを悟った。

恐らく…月島が言っていた通り、沙羅はうちに帰ってきたくないんだろう。



『どうだった?アイツの様子は』


『相当泣いたあとらしく、目が腫れておりました。

少しばかり話をしたのですが、やはりあずさ様とのことをまだ気にしておられるようです』


『そうか。やっぱりそれか』


『はい。

そしてもう2度と来るな、と言われてしまいました』


『なあ、瑞季』


『なんでしょう』


『どうしたら沙羅は、俺を信じてくれるんだろう』


口に出して気づく。

俺はなんてカッコ悪いオトコなんだろう。







< 156 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop