偽装婚約~秘密の関係~
瑞季がうちを出て行って1時間ほど経過した。
アイツは未だに帰ってきていないらしい。
どうも沙羅のことが気になって、
勉強どころではないし、
新聞の内容も頭にはいってこない。
そんなことを思いながら
ベットに寝転がっていると
『晴弥様。ただいま戻りました』
瑞季の声がした。
『入れ』
『失礼します』
入って来た瑞季の顔を見た瞬間、だいたいのことを悟った。
恐らく…月島が言っていた通り、沙羅はうちに帰ってきたくないんだろう。
『どうだった?アイツの様子は』
『相当泣いたあとらしく、目が腫れておりました。
少しばかり話をしたのですが、やはりあずさ様とのことをまだ気にしておられるようです』
『そうか。やっぱりそれか』
『はい。
そしてもう2度と来るな、と言われてしまいました』
『なあ、瑞季』
『なんでしょう』
『どうしたら沙羅は、俺を信じてくれるんだろう』
口に出して気づく。
俺はなんてカッコ悪いオトコなんだろう。