偽装婚約~秘密の関係~




『月島様。

主人が手を出したことは謝ります。


ですが、手荒な事をされるのは…』


『まあ、これでおあいこ、ってことで。』


…ああ、思いだした。

月島、合気道やってたんだっけ。


何も武術を身につけていない俺が勝てるはずがないな。



『……いい加減帰れよ』


だいぶ月島もイラついているらしく、声色が先ほどとは違っていた。



『イヤだ』

沙羅なしで帰れるワケねーだろーが。


『なんだか今の遊馬は学校のときとは別人だな。


学校にいるときは漫画にでも出て来そうな優等生。

なのに今は優等生とはかけ離れた我が儘野郎だ。


ま、でも今の方が人間らしいけどな。

学校でのお前はまるで…ロボットだ』


月島は、ははっと乾いた笑い声で笑う。



『月島は学校でも家でも変わらずお喋りなんだな。


で、沙羅は?

いつになったら出してくれる?』


話を逸らそうって魂胆か?

だとしたら、残念だったな、月島。

俺はそんな手に乗るほど単純じゃない。







< 164 / 206 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop