偽装婚約~秘密の関係~
無性にイライラしてきたかと思えば、
急になんだかいたたまれないキモチになってきて。
アイツのバカみたいに明るい笑顔が浮かんでくる。
どうしたんだ…俺。
疲れ過ぎて頭、バカになったのか?
「はい、遊馬でございます」
そして気づいた時には家に電話していた。
『あ、ああ、俺だが』
「はい、どうかなさいましたか?」
『いや…その、沙羅…に代わってほしいんだが』
「かしこまりました。
少々お待ちください」
何やってんだ…俺。
切ろうか悩んでいると
「もしもし?」
沙羅が電話に出た。
もういい、この際言ってやろう。
『なんで連絡してこない?』
「なんで、って連絡する必要、ないじゃん。」
『……そうか。
そう…だよな』
確かに連絡する必要なんてない。
ないかもしれないけど…だけど。
…って何考えてんだ、俺ってば。