偽装婚約~秘密の関係~
「……なんか、あった?」
電話口から聞こえたのは思ってもみなかった言葉だった。
『なんでもないんだ。
ただ、ちょっと沙羅の声が聞きたくて』
思ってもみなかった言葉に、
思わず本音を言ってしまった。
「寝ぼけてる?
それとも疲れてる?」
少し笑い声の含んだ声。
どうやら沙羅も驚いているようだ。
『両方…かもな。』
さっきの言葉を取り消したくて。
笑いながらそう答えた。
だけど、なんだか無性に沙羅が恋しくなって。
『沙羅…今、俺に…会いたい?』
しばらくの沈黙。
その間に我に返った。
『……やっぱ今のなし。
聞かなかったことにして。
ごめん、もう寝るから。
じゃ、おやすみ』
おやすみ、と言ったものの、まだ仕事が続くワケなんだか。
はあ…
声聞いたら余計に沙羅に会いたくなった。
っていうか、ホント、キャラじゃないことしすぎだな今日は。