偽装婚約~秘密の関係~
『何、言ってんだよ…?』
「あたし、契約規約破った」
『……そんなこと…っ』
そんなこと、どうでもいい。
そう言いたかった。
でも沙羅が言葉を遮る。
「まず最初の契約規約。
”この関係を他人に話してはいけない”
昨日…要に喋った、契約のこと」
『………それは破ったうちにはいらない』
そう、はいらない。
相手が月島なら尚更だ。
そんな規約、どうだっていい。
「それに2つ目の規約。
”相手に惚れてはいけない”
晴弥、さっきの話、聞いてたならあたしのキモチ…知ってるんでしょ?
これって1番破っちゃいけない…規約なんじゃないの?」
沙羅が真っ直ぐに俺を見ていた。
俺は何も、言えなかった。