偽装婚約~秘密の関係~
「晴弥。
契約…終わりにしよう」
沙羅の声が木霊する。
そうしてやっと、認識した。
沙羅の言葉の意味を。
『…………イヤだ』
イヤだイヤだイヤだ。
お前を手放したくなんてない。
『そんなこと…許されると思ってんの?』
俺は沙羅に歩み寄る。
『そんな我が儘…俺に、通ると思ってんの?』
そう言って沙羅をソファに押し倒す。
抵抗させる隙なんて与えなかった。
こうでもしないと沙羅がどこかに消えてしまうんじゃないか。
そう思うと怖くてたまらなかった。