偽装婚約~秘密の関係~
沙羅は俺を真っ直ぐに見つめ返す。
「あたしは自由になりたいの」
『…自由になんてさせない』
「普通の生活に戻りたいの。」
『……戻らせない』
そんな勝手な話、俺が許すワケないだろ。
いい加減、諦めろよ、沙羅。
「ねぇ…晴弥。
もうあたしに用はないでしょ?
なのに…どうしてあたしを引き留めるの?」
確かに沙羅の言うとおりだ。
無事に18歳を迎えられた。
婚約披露だってした。
なのに、なぜ俺は沙羅を引き留める…か?
『………理由は…言えない。』
言えない。
本当はそうじゃない。
分からなかったんだ。
自分でもどうして沙羅を引き留めるのか。