偽装婚約~秘密の関係~
『………見つけた…っ…!!』
やっと、見つけた。
ホットドッグの行列に並ぶ、
瑞季と沙羅の姿。
人がこんなに一生懸命になってるっていうのに、お前は呑気にホットドッグか。
ふざけやがって。
…でも、良かった。
間に合って…ホントに良かった。
『………さらっ!!!』
そう叫ぶと沙羅が振り返る。
一瞬のうちに表情が消えて口がゆっくりと動く。
「どう…して…」
声は聞こえなかった。
でも確かに、沙羅はそう言った。
必死に人をかき分け、2人のもとへ近づこうとする。
だが…
『………待てよっ!沙羅!!!』
どうしてか沙羅は瑞季の手を取って逃げやがった。
クッソっ!!
ここに来てなんで…っ!!
2人が消えた方向へまた、走り出す。
そうするとすぐに2人の姿が見えた。
瑞季が何かを言っている。
沙羅は首を振るばかりで。
俺は立ち止まって、
そんな2人の姿を呆然と見つめていた。