偽装婚約~秘密の関係~
初登校日
沙羅は俺からケータイを引っ手繰ると大股で自分の部屋へ帰って行った。
まったく、アイツも何考えてんだか。
てっきりさっきの言葉言ったら、乗っかってくると思ったんだけどな。
何にも言わないなんてパターンが
沙羅に存在するなんて知らなかった。
ま、出会って間もないから知らなくて当たり前なんだけど。
それから間もなくして沙羅の部屋から声が聞こえてくる。
恐らく、沙羅の話し相手は
俺が言った『連絡したい奴』だろう。
はあ、と無意識に溜め息が零れて。
まあいい。
今はまだ、好きにやらせておこう。
そう心の中で独り言を呟いて俺はトイレに立った。