偽装婚約~秘密の関係~
「……べ、別にそんなこと…」
予想通り、ってところかな、この反応は。
ちなみに、洋介っていうのは沙羅の恋人だ。
二股かけてる、って調査で発覚した最低な男。
『言っとくけど俺、お前のことなんでも知ってるから』
「……はっ?!」
いやいや、パニックになるほどのことでもないだろ、沙羅。
『お前のことは事前に調べた。
ま、偽装とは言え一応俺の婚約者になるワケだからな。
当たり前のことだ。
そんな驚くほどのことでもない』
沙羅の目が大きく見開かれる。
『あ、そうだ。
紹介し忘れてたんだけど』
今、突然思いだした。
俺はパチンと指を鳴らす。
すると、ドアが開き
『お呼びでしょうか、晴弥様』
と、瑞季が入ってくる。
あーあ。
沙羅、瑞季に見とれてやがる。
やっぱりコイツ、いい男なのか。
『瑞季、今日からコイツの世話も頼む。』
『かしこまりました』
俺は瑞季と沙羅を残して自分の部屋へ戻ろうとした。
あ、そうだ。
言わなきゃいけないことがあったんだった。
『沙羅、お前の大好きな洋介とは別れろよ』