偽装婚約~秘密の関係~
部屋に入った俺はパソコンを起動させる。
そして経済記事に目を通す。
それから今日1日のニュースをくまなくチェック。
芸能人のゴシップネタから、
殺人事件まで。
ありとあらゆるジャンルの情報に一通り目を通す。
これでも世界の遊馬を継ぐ男だからな。
どんな情報も頭の中に入れておかなくちゃいけない。
しばらくするとノック音が聞こえて。
『どうぞ』
と、声をかけると静かに扉が開く。
この開け方は瑞季しかいない。
『どうした?』
『沙羅様ですが』
『ああ』
『お疲れの様子で先ほど、おやすみなりました』
『そうか』
チラッと瑞季の顔を見ると、
いつもと変わらない表情で俺を見ていた。
『やはり…洋介さんの件では、相当動揺しておられました』
『そうか』
そんなことだろうと思ってたよ。
こんなの想像の範囲内だ。
『そうだ、瑞季。
その後、洋介の調査はどうなってる?』
『はい、相変わらずもう1人の恋人と会っている様子です』
『そうか。もう下がっていい』
失礼します、という声がしてまた静かに扉が開いた。
ったく、沙羅もめんどくさい男に引っかかったもんだ。
自分が騙されてる、ってことくらい気づけ、ってーの。