偽装婚約~秘密の関係~
学校に着くと、沙羅は驚きすぎて口が間抜けに開いたままの状態で停止していた。
それも仕方がないだろう。
ここは日本でも1番金のかかる高校だ。
簡単に言えばセレブしか通えない高校。
庶民には縁のない場所だからな。
だけど、沙羅にはもう少し俺の偽装婚約者である、という自覚を持ってほしい。
俺の婚約者が間抜けな顔してる、なんて笑えないだろ。
それから隣のクラスの森乃先生に沙羅を紹介して自分の教室へ行った。
「おはようございます、晴弥様っ!」
教室に入ると女子たちが挨拶をしてくる。
『おはようごいざます、みなさん』
スイッチをONにしている俺はニコッと笑顔を浮かべた。
すると女子たちの目がとろんとしてしまう。
ったくコイツらもこりねーな。
少しは慣れろ、ってーの。
そんなことを思いながら席に着いて本を開いた。
こうしていれば邪魔されることはほとんどないからな。