偽装婚約~秘密の関係~
8時半。
チャイムが鳴った。
それと同時に教室を出る。
もちろん、今から朝のホームルームってやつが始まるワケだが。
あんなもん、時間の無駄だ。
出るだけ、損。
そんな考えの俺は大抵、HRはサボる。
『…あ』
廊下にアイツの姿を発見。
そっと近付く俺。
『何ぼーっとしてんだよ』
声をかけると
「…晴弥ぁ?!」
予想外の声の大きさで沙羅は叫びやがった。
『お前ってイチイチうるさいな。
ちょっとは静かにしろよ。』
沙羅を白けた目で睨むと、
なぜか睨み返された。
いや、睨む義理はあっても睨まれる義理はねーって。
「ってか、なんでここにいるワケ?
あんたもホームルームあるでしょ?」
『そういうの、ホントめんどい。
だからサボった』
そう応えると、アリエナイ、みたいな顔をされる。
『ちなみに俺、お前と違うクラスだから。
帰りに迎えに行く。
んじゃーな』
それだけ言って教室に戻る。
そろそろHRも終わる頃だろーしな。