偽装婚約~秘密の関係~
それは今から約1週間前にさかのぼる。
俺とおそらく1番仲のいい佐倉ジュウゴの家に行ったときのことだ。
ジュウゴの部屋でくつろいでいた俺はたまたま見つけた卒業アルバムを手に取った。
『うはっ?!
やめろ!それだけは見んな!』
手にしたアルバムを必死になって奪い返そうとするジュウゴに
『なんだよ?見られちゃマズイもんでもあるのか?』
と、挑発した。
すると単純なジュウゴは
『別にんなもんねーよ。
…ほら、だから勝手に見れば?』
と、言った。
おー。
さすが、俺。
中学から一緒なだけある。
ジュウゴの扱いは多分、世界で1番うまい。
そしてパラパラとジュウゴの小学生の頃のアルバムをめくっていた。
すると、俺の視線があるところで止まったんだ。
『…ホオズキ サラ』
思わず、名前を呟いた。
『あーあ。
やっぱりそこで止まっちゃうワケ?』
横からアルバムを覗いていたジュウゴが言う。
『どういう意味だよ、それ』
『だって、沙羅、似てるもん。
どことなく…アズサに』