偽装婚約~秘密の関係~
『なんだよ?沙羅。
俺に逢いたくてわざわざ逢いに来たのか?』
場所は人の多い教室から変わって、ひとけのない廊下の隅。
「んなワケないでしょうが!
あんたに文句言いに来たの!」
『文句?』
「なんで契約のこと、ジュウゴに言ったの?!」
なんだ、そんなことか。
『あ、そうだった。
お前、ジュウゴと知り合いなんだよな』
「そんなこと、どうだっていいじゃん!
それより、契約規約の1つめ、破ったよね!?」
ったく、ギャーギャー騒ぎやがって。
耳が痛いだろーが。
『俺の行動にお前の口だしは許さない。
沙羅は黙って俺に従えばいいんだよ』
なんせ、俺のペットなんだから。
「晴弥、何言ってるか分かってる?」
『もちろん』
「あたし、あんたペットじゃないの。
分かる?」
分かんねーよ。
俺の中じゃ沙羅はペットだ、ってもう決まってんだから。
『お前、ちゃんと見たか?契約書』
なんでここで契約書が出てくるの?
と、言わんばかりの沙羅の顔。
まったく、困ったもんだ。
あんな大事な書類にちゃんと目を通さないなんてアリエナイだろ。
『もう1回、契約規約をよく見ろ』
そう言い残して俺は教室に戻った。