偽装婚約~秘密の関係~
『なんだよ、それ。
俺…沙羅になんて会いたくなかった』
『…は?』
ジュウゴが頭を抱える。
どうしたんだよ、コイツ。
いつもバカみたいにはしゃいでるくせに、そういう仕草すんなよ。
『お前に言っただろ?
俺の初恋の相手だ、って。』
『あ、ああ。』
『忘れてた…いや、忘れたかった。
事実、あの日まで沙羅のこと、ほとんど忘れてたんだ。
なのにお前が卒アルで沙羅のこと見つけて。
そしたらなんか分かんないけど昔の気持ちが復活しちゃって。
だから…』
『何?また、沙羅に惚れたワケ?』
『え…い、いや、そういうワケじゃないけど…』
『そういうワケだろ。
お前、沙羅のことが好きなんだろ?』
ジュウゴはまた、俯く。
ったく、仕方ねえヤツだな。
『分かってたよ、それくらい。
お前が沙羅に再会したら惚れるんじゃないか、ってことくらい。
だからお前のクラスに沙羅を入れたんだ。』