偽装婚約~秘密の関係~
『で、俺は直感で沙羅はお前の偽装婚約者だ、って受け取ったけど、いいんだよな?』
『ああ、問題ない。
お前が言ったんだからな。
俺の好きなようにすればいい、って』
『分かってる。
俺だって…覚悟、してたんだから』
ジュウゴはよし、と言って立ち上がる。
『用も済んだことだし、俺は帰るよ』
ドアを開けると同時に
「ないすとみーとぅー
あいむホオヅキサラ」
英語のはずなのにカタカナ表記にでもきないような発音の自己紹介が聞こえてきた。
すかさずジュウゴが
『Unskillfulness』
と、完璧な発音で言ってのける。
Unskillfulness=下手
俺は隣でクスッと笑ってしまう。
「ってジュウゴ?!
あんた、今…下手って言ったでしょ?!」
おお、英語の成績がいいだけあるな、沙羅。
お前はそんな単語も知ってたのか。
そしてジュウゴは涼しげな顔で続ける。
『I said a fact』