偽装婚約~秘密の関係~
『俺は事実を言っただけだ』
ジュウゴの言葉を翻訳するとこんな感じ。
「ってか、日本語喋りなさいよ!」
沙羅のそんな言葉もお構いなしにジュウゴは続ける。
『I cannot speak Japanese』
I cannot speak Japanese=俺は日本語が話せない
アホかよ、お前は。
思わずツッコミを入れたくなるがその前に俺も沙羅いじめに参加しよう。
『Sara is wretched』
Sara is wretched=沙羅が惨めだ
俺はそう言ってニヤッと笑う。
案の定、ご立腹の沙羅。
沙羅、カルシウム不足じゃね?
そんな怒ると血圧あがるぞ?
『さすがです。ジュウゴ様、晴弥様』
瑞季が頭を下げる。
『やめてくださいよ~瑞季さん!』
ジュウゴがいつもみたいにヘラヘラ笑いながら瑞季の背中をたたく。
可哀そうに、瑞季。
あれ、結構痛いんだよな。
「あのさ、なんでジュウゴも晴弥もそんな発音キレイなワケ?」
『んなの決まってるだろ。
お前と作りが違うからだよ。
な?ジュウゴ?』
調子に乗っている俺たちは目配せしてニヤッと笑う。
でも
『お二人は短期留学でオーストラリアに行っていたことがあるのです』
瑞季がそう言って。
ったく、お前はいつでも真面目だな。
『ま、そういうことだ、沙羅。
せいぜい英会話、頑張れよ』
ヒラヒラと手を振ってジュウゴを送るために玄関へ向かった。