偽装婚約~秘密の関係~
車が家の前に停まると、ちょうど、ジュウゴの車が入ってきた。
『お!晴弥!
わざわざお出迎えか!
ありがたいな!』
『…クタバレ』
ボソッと呟く。
『ひっでぇー!
そういうこと言うなよー』
ギャーギャーと騒ぐジュウゴを置いて家の中に入る。
『沙羅、まだ瑞季さんとレッスン中かな?』
『そうじゃねーの?』
そんなことを言っていると部屋に到着。
ボソボソと話し声が聞こえる。
『おい、入らねーの?』
『うるせぇ。黙ってろ』
途切れ途切れだが多分、沙羅は瑞季にどうして俺が沙羅を選んだのか聞いた。
ったく、んなこと知ろうとすんなよ。
『ただ1つ、言えることがあります。
それは、晴弥様は沙羅様をみ…『瑞季』
ドアを開けて瑞季の言葉を遮った。
勝手なことしようとしやがって。
『余計なことは言うな』
『申し訳ございません』
瑞季が頭を下げる。
『おい、沙羅。
ところでお前…洋介と、別れたんだろうな?』
正直、こんなことを言うつもりはなかった。
でもなぜかこの言葉が口をついて出てきてしまった。