偽装婚約~秘密の関係~
プライド
『晴弥様、到着しました』
その声で瞑っていた目を開けた。
寝ていたワケじゃない。
キモチを落ちつけたかったんだ。
『行くぞ、瑞季』
『はい』
俺は吉岡と表札がかかっている家のインターフォンを押す。
しばらくするとドアが開いた。
『…どちら様ですか?』
出てきたのは沙羅の彼氏、洋介だった。
『遊馬晴弥だ。
ちょっとキミに…用があるんだが』
『遊馬晴弥…?
誰?あんた。
今、客がいるんだよね』
『彼女、か?
…年上の。』
その言葉に目を見開く洋介。
『てめぇ…誰だよ?!』
『あまり騒ぐな。
近所が不審に思うだろ。
とりあえず家の中に入れてくれないか』
『なんで!なんでお前みたいな見ず知らずのヤツを家に上げなきゃなんねぇんだよ?!』
ったく、コイツは沙羅と一緒だな。
ギャーギャー騒ぎやがって。
『沙羅の件で話があるんだ。
年上の彼女はいないほうがいいかもな』