偽装婚約~秘密の関係~
それから俺は吉岡家のリビングに通される。
少しすると階段を降りてくる音と女の声が聞こえる。
「ねえ?!なんなの!?」
『ごめん。この埋め合わせは必ずするから!』
「ちゃんと説明してよ!」
『ホントごめんって』
それでもゴチャゴチャ言う女。
でもしばらくすると黙る。
『…ふざけやがって』
うるさい声の代わりに聞こえてきたのはいやらしい声と音。
客人がいること分かってんのか?
『晴弥様、落ち着いてください。』
俺の貧乏ゆすりを見かねてか瑞季が言う。
『ああ、分かってる。
俺は落ち着いてるよ』
そんな会話をしているとリビングのドアが開いた。
『で、ご用件は?』
俺の前に座る洋介。
『その前に、口紅、ついてますよ』
と指摘すると慌てて口を拭う洋介。
沙羅、お前…こんなヤツと付き合うべきじゃねぇぞ。
早く目ぇ覚ませ。